第105章

メッセージを送ってから音沙汰なし、山田澪は携帯電話を強く握りしめながら、焦りを抱えて待っていた。

二十分間もじっと待ったが、相手からの返信は一向に来なかった。

福江お婆さんは彼女の表情が徐々に暗くなっていくのを見て、思わず山田澪の手を握った。「澪ちゃん、気持ちは十分わかったわ。ありがとう、本当にありがとう」

福江悟志はみかんを一皿食べ終わると、振り返って尋ねた。「まだダメなの?あなたたち北村家はそんなにお金持ちなんだろう?1000万円くらい出せないのか?」

山田澪はお年寄りの顔を見つめ、唇を噛みながら北村健に電話をかけた。

電話は繋がったが、出たのは北村健ではなかった。

「山田澪...

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